目覚めの音色は 鳥と風と 木々と蝶の オーケストラ
深い森のなか 静脈のよう 流る川辺 微睡(まどろ)んでたの

「どうして私は ここに? ばあばは何処?」「何(なん)の事? あなた誰?」
「誰?と訊かれれば 不思議…わからないわ」「奇遇ね わたしもよ」

その時 突然 二足歩行の 服着たウサギが
二匹 現れて こう云ったの

シロウサギは 斯(か)く語る
「この世界へと 迷い込んだら
…ハートの女王に 名と記憶を奪われる」と
クロウサギは 斯(か)く語る
「元の世界に 帰りたければ
…ハートの女王に 裁判で勝訴せよ」と

思えば身なりも 絹や花で 上も下も オートクチュール
夢と疑って 頬つねれば 実る林檎 痛みはリアル

「結局あなたと 一緒 妙な縁ね」「何から すればいい?」
「そうね ひとまずは 呼び名 決め合わない?」「素敵な アイデアね」

その時 突然 二足歩行の 服着たウサギが
騒ぎ始めて こう云ったの

クロウサギは 斯(か)く語る
「呼び名だなんて 呼べればいいよ
…昼寝(シエスタ)の彼女は 『ハピネス』とか いいじゃない?」と
シロウサギは 斯(か)く語る
「ソッチがそうなら コッチはどうしよ?
…読書家の彼女は 『スマイル』とか 似合わない?」と

そして ウサギは 駆け出したの

シロウサギは 斯(か)く語る
「コッチへおいで キミはハピネス
…ハートの女王に 逢う近道 教えるよ」と
クロウサギは 斯(か)く語る
「アッチへ行こう キミはスマイル
…コッチが正解さ 迷わずに さぁ走れ」と

ウサギたちは 笑ってた
それぞれ 深い落とし穴へ 転げ堕ちる 私たちを
ウサギたちは 笑ってた
「ハートの女王に 裁判で勝訴せよ」と