総再生数5億超えピアニスト・まらしぃが語る、ネット時代のアーティストの生き方

ニコニコ動画やyoutubeなどの動画投稿サイトでの演奏動画の総再生数・約5億ビュー、youtubeのチャンネル登録者数は140万人超え、と、大人気のピアニスト・まらしぃ。投稿で演奏する曲は、アニソンやボーカロイド、ゲーム音楽を独自の解釈でアレンジしたモノが主だが、自作曲も数多い。投稿活動だけでなく、CDリリース、ライブツアーの他、TOYOTAなどの企業CMやTV、映画、イベントなどへの楽曲提供を行ったり、フレンチポップの女王・クレモンティーヌや高橋洋子など多彩なジャンルのミュージシャンと共演したり…と幅広く活躍中だ。そして、昨年8月13日から今年8月12日まで活動10周年イヤーとして、記念リリースやコンサートツアーを慣行。今年3月に初の中国公演を成功させ、6月には単独ピアニストとして初の幕張メッセ公演を開催。チケットは完売で、超満員の観客を前に大成功を収めた。そして、新たなステップの第1弾として、8月28日にベートーヴェンの『運命』と、オリジナル曲『村雨』を発表(オリコンミュージックストアにて独占配信)。「自分が楽しむこと」を大切に、20周年に向かって進み出したまらしぃに、これまでの思いや、これからのこと、今回の作品での“新たな試み”について語ってもらった。

まらしぃ

“動画投稿”という手段が無かったら、きっと途中で飽きて終わってたと思う

まらしぃは幼少からクラシックピアノを習っていたが、中学のときに指導者と衝突して、4年ほどピアノから離れることになる。だが、『東方Project』を知ったことがきっかけで、ピアノを再開。2008年の8月、ニコニコ動画に『東方〜』の楽曲『ネイティブフェイス』を演奏した動画を初投稿し、“まらしぃ”としての活動が始まった。だが、当時は、単なる趣味の延長でしかなかったそう。

「今でこそユーチューバーとか、動画の投稿で生計を立てる人が出てきましたけど、僕が投稿し始めた2008年は、まだそんな流れは無かったし、ピアノで食べていくこと自体、全く考えてなかったです。数学教師とかになって、ピアノは趣味で続けられたらいいな、ぐらいで…。単純に好きでやってたら、CDを出すことになって、ライブもするようになって、投稿も続けて…で、気がついたら10年経った、って感じです。“有名になってやろう!”っていうのも、ホントに無かったんで」

まらしぃ

――そうやって、ただ自分が楽しくて活動を続けてた中で、大企業からのCM曲のオファーや、有名人からのピアノ演奏の依頼など、すごくメジャーな話が舞い込んできたときは、どんなお気持ちだったんですか?

「自分のことなんですけど、ちょっとどこか他人事というか…。動画を通して自分の演奏を誰かに聴いてもらえるのって、何が起こるかわからなくてワクワクするんですよ。でも、思いもしなかった大きなオファーが来たときに、舞い上がって“どうしよう…”ってなったり、うまくやらなきゃ、と思い詰めてしまったり…というのは無くて、“次はこういう展開になっていくのか! わぁースゴいなぁ”って、一歩引いて感じてました。何かを目指してたワケでも、焦って何かに手を出したワケでもなくて、目の前のことを1つ1つやってたら、いつのまにかいいところに収まってた、っていう感覚なんです」

――“動画投稿”って手段が無かったとしたら、“まらしぃ”さんはどうなってたと思います?

「ライブ活動はしてたかもしれないけど、途中で飽きて終わってたんじゃないかなぁ。自分が演奏した動画を共有してみんなでワイワイやるのが楽しかったんですよ。いろんな人の反応がわかって、新しい刺激もある――そこが好きで、今も続けてるんです。だから、1人だったら続いていないと思います」

まらしぃ
運命/村雨

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