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- 緑黄色社会『sabotage』独占インタビュー!
最近、YouTubeをはじめとするネット配信の発達と流通形態の多様化で、メジャーデビューにこだわらずに自由に活動するアーティストが多いが、緑黄色社会は、いわゆる王道のサクセス路線を目指している。
高3の時に『閃光ライオット』(Sony Musicなどが主催していた10代のアーティスト限定のロックフェス)で準優勝した当時から、Sonyさんにはアドバイスをもらったりして関係が続いてて、その流れでエピックレコードと契約したので、私達としては、“インディーズ”“メジャー”って区別する感覚は無いんです。
メジャーデビューを目指して頑張った、って事は1回も無いですね。でも、僕らが目指している“国民的な存在”や“お茶の間に届く”って域に行くには、自分たちの力だけではどうにもならないんで、メジャーの力も借りよう、と。
プロになる、というのも、結成当時からみんな漠然と考えてはいたと思うんですけど、4人でそれについて話し合った事は無いんですよ。
「このバンドで食っていこう!」というより、「大きい会場でやりたい!」「有名になるぞ!」って方が大きかったんで。
でも、CDを出させてもらったり、いろんなスタッフさんに協力してもらったり…となって、もう学生バンドじゃない、という責任感やプロ意識は出てきました。
――現時点での目標は何ですか?
やっぱり武道館でライブしたいですね。
あと、『紅白(歌合戦)』に出たいです。わかりやすく、おばあちゃんが一番喜んでくれると思うんで。
――最近では珍しく王道志向ですね。
私達も、「何かちょっと変わったことをしよう」って考えてた時期もあったんですけど、活動していく中で、自分たちに向いている事、出来る事がわかってきたんです。で、「王道でいいんだ」って自信持って言えるようになりました。
嗜好が細分化しすぎて、誰もが知ってる曲やアーティストって今の時代はもうあんまり無いけど、そんな中でも、「さすがに、この人は知ってるでしょ?」ってアーティストは居るじゃないですか。星野源さんとか米津玄師さんとか。そういう存在になりたいです。
今って、生活の中心がどこにあるか、っていうのも本当に人それぞれで、YouTubeやネットしか見ない人も居るし、TVしか見ない人も居るし。その比率が、最近はネットの方に傾いている気がするんですけど、僕らにとっての王道は『紅白』なんですよ。だから、その夢は叶えたいです。もちろん、ネットの世界も大切ですから、やれる事を考えていくつもりです。
ラジオでいつも流れてたり、どこのお店でもBGMになってるような音楽をやりたいし、そういうポジションになれると思ってるんです。元々聴いてきた音楽は4人ともバラバラですけど、共通してるのはJ−POP。だから、大衆性を特に意識しなくても、皆さんに届く楽曲作りになってると思います。だけど、挑戦は常に続けていきたいです。音楽面でも、今までやってこなかった雰囲気の曲を作ったりとか…。その上で国民的な存在になりたいです。でも、そうなっても、地元の名古屋は絶対捨てたくない場所です。ツアーで“名古屋飛ばし”は絶対にしません(笑)! 何度もコンサートを観に行ったガイシホールは憧れの会場なので、いつか自分たちでもやれたらいいな、と思ってます。
――国民的な存在を目指す中で、今回の主題歌担当は、すごく大きな意味がありますよね。
“地上波の連続ドラマの主題歌”って事が嬉しかったです。
小中学生の頃は、ドラマを見ていて、そこで流れる主題歌で曲を知ることが多かったので、今回、その立場になれたのが感慨深いですね。
今年の9月に映画の主題歌をさせて頂いて、それももちろん嬉しかったんですけど、映画は映画館に行かないと観れないじゃないですか。でもTVは、観ようと思ってる時だけじゃなくても、ついてたら自然と目や耳に入ってきたりしますよね。だから、お茶の間にちょっと入り込めたような嬉しさもありました。
――この『sabotage』のイントロを聴いた瞬間、「わぁドラマの主題歌っぽい!」って思ったんですけど、かなり意識して作った感じですか?
メロディのパワフルさ、という意味では意識しましたね。ドラマ側の意向として、“明るい曲”というのがあって、「でもちょっとヘンテコな要素も欲しい」って言われてたんです。その感じは、主人公の小暮也咲子のイメージに合ってて、すごくわかるなぁと思って。で、最初に出てきたのが、Aメロの半音下がったりするフレーズだったんですよ。その対比で、サビは逆にシンプルにしました。歌詞の面では、主人公の性格や雰囲気が私に当てはまるような部分があったので、特に意識しなくてもドラマの内容から離れないモノが書けました。私の気持ちでもあり、也咲子の気持ちでもあるんです。
この曲が出来るまで、実はみんなで何曲も書いたんですよ。でもなかなか納得できるモノにならなくて…。で、長屋が『sabotage』を持ってきて、聴いた瞬間に「これだ!」ってなりました。
めちゃくちゃいいメロディだなと思って。さっき言ったヘンテコな部分と、シンプルだけどパンチがあるサビのメロディ―、その駆け引きがうまく出来てる曲だなぁ、と。
どれもどこかしっくり来てなくて、そのまま決まっちゃうのはイヤだったし、納得のいくまで…“納得”って何だ? ってところまでいっちゃったんですけど(笑)。この曲ができた後もギリギリまであがいてましたね。でも、今は自信を持って『sabotage』で良かった、と思ってます。
初回のオンエアは、会社でみんなで見たんですけど、実際に流れてるのを見て、やっと肩の荷が下りました。
主題歌という大役を任されて光栄だけど、この曲をみんなどう感じてくれるんだろう…って、ドラマ中で流れるまで不安だったんですよ。でも、ドラマの雰囲気にも合ってたし、溶け込んでたので、本当にホッとしました。たくさんの人に響く内容になってると思うので、皆さんに私達を知ってもらうきっかけとして、この曲が初めてのドラマ主題歌で良かったな、と思います。
――最後に、『sabotage』を聴いてくれる読者にメッセージをお願いします。
日々、学校や職場、恋愛…いろんなツラい事があると思うけど、そんな時に寄り添って、押しつけがましくなく「大丈夫だよ」って言ってあげられるような曲だと思います。
ドラマの内容と共に記憶に残ってる曲ってたくさんあると思うんですけど、この『sabotage』も、そんな1曲になれたらいいと思います。ドラマのストーリーと重ね合わせて、より好きになってくれたら嬉しいです。
情報が溢れてる中で、緑黄色社会、そして『sabotage』にたどり着いてくれたことが、まずすごい奇跡だと思うし、本当にありがたいです。この曲は、ドラマの為に書いた曲ではあるんですけど、私の中では“空っぽと前向き”っていうのがテーマにあって、「自分には何も無い」って思う事ってあるじゃないですか。特徴が無いんじゃないか、とか、個性って何だろう…って悩む瞬間が誰にでもあって、そういう方の背中を押せる曲にしたかったんです。それと、単純にパンチのあるメロディラインなので、何かちょっと生活が物足りないな、って時にも聴いてほしいです。それで元気になってもらえたら嬉しいですね。
(取材・文/鳥居美保)